ある日の夜、寝ようとしていたときに地震が起きました。
大きな揺れではなかったものの、その瞬間に「もしこのまま大きな災害が起きたら、どこに避難すればいいのか分かっていない」と気づきました。
安全性を考えて土地を選び、建物にも配慮しているつもりでしたが、いざというときの行動については、具体的に想定できていなかったのです。
どれほど条件の良い土地であっても、自然のリスクを完全に避けることはできません。
だからこそ、その場所でどう行動するかを、事前に自分の中で整理しておく必要があります。
この出来事をきっかけに、私たちは実際にセカンドハウスから最寄りの避難所まで歩き、避難経路や周囲の状況を確認することにしました。
地図だけではわからない。避難所までの道のりを実際に歩く理由
私たちが現地で行ったのは、拠点であるMOKKEJAから最寄りの避難所まで、実際に自分たちの足で歩いてみることでした。
ただ歩くだけでなく、晴れた日にタイムラプス動画を撮影しながら、周囲の道路の状況を確認する防災散歩です。
タイムラプスで記録しておくことで、歩いているときには気づきにくい道の状況や危険になり得るポイントを、後から客観的に確認することができます。
ハザードマップやスマホの地図を見れば、避難所の場所くらいわかると思うかもしれません。しかし、実際に歩くことで初めて得られる情報がたくさんあります。
事前に私たちが確認しておきたかったのは、以下のような項目です。
・最寄りの緊急避難場所と避難所はどこか?
・どの災害(洪水、土砂崩れなど)のときに、どの場所が最適か?
・避難所での生活(プライバシー、食事、物資の受け取り)は実際どうなるのか?
・そこには何が常備されているのか?
避難場所の立地やそこまでの道のりは自分たちの足で確かめ、現地の設備や避難所生活のリアルについては自治体の情報などをあわせて調べることにしました。
見落としがちな避難所の看板、災害ごとに違う「〇」と「△」の意味とは
セカンドハウスMOKKEJAから歩くことしばらく、最寄りの指定避難所である青和学園に到着しました。まず確認したのは、入り口にある看板の表示です。
看板には、災害の種類ごとに記号が並んでいました。よく見ると、地震の項目には「〇」がついているのに対し、洪水の項目には「△」のマークがついています。
一番近い避難場所だからといって、どんな災害のときにもここにくれば安心、というわけではありません。
周辺の地形を考えると、大雨の際は河川の増水だけでなく、がけ崩れなどの土砂災害のリスクも高まります。
そのため、学校が無事でもそこへ至る道中が危険になる可能性があり、洪水時は注意が必要な「△」の評価になっているようでした。
避難場所は「距離の近さ」だけで選ぶものではなく、周囲の状況をよく見て、災害の種類ごとに適した場所とルートを考えておく必要があります。
さらに看板を見ると、ここには「緊急避難場所」と「避難所」という2つの役割があることも分かりました。
・緊急避難場所:命を守るために一時的に逃げ込む場所
・避難所:被災後、一定期間生活を送る場所
青和学園は、一時的に避難する場所としての機能と、避難してきた人が避難生活を送る場所としての機能、両方の役割をもっているということがわかります。
避難所の災害ごとの適正ですが、ハザードマップ上でも確かめることができます。
マップを眺めるだけでは不十分で、こうして現地を歩くことで初めて、実際に歩いてみることで、情報の意味がより具体的に理解できました。
避難所に行けば安心、というわけではありません。都心で想定されるもう一つの現実
避難所に指定されている青和学園の備えについて確認すると、「原則として緊急避難場所では食料などの物資配布は行わない」「物資の提供は受けられるが、十分でない場合があるため、最低限必要なものは自分で用意する」という相模原市のガイドラインが見えてきました。
そもそも避難所は、行政のスタッフがすべてを用意してくれる場所というより、避難してきた人たち同士で支え合いながら過ごす場とされています。
そのため、到着してすぐに十分な食事や水が行き渡るとは限らず、状況に応じて協力しながら過ごすことが前提になります。
ここで、視点を少し広げて、普段の生活の場である都心に目を向けてみます。
「都心の頑丈なマンションに住んでいるから、避難所生活をするほどの被害は受けないだろう」
そう感じると、セカンドハウスと防災はあまり結びつかないように思えるかもしれません。
しかし、都心のリアルな災害リスクは建物の崩壊ではなく、インフラ停止による生活の崩壊です。
家が無事であっても、停電でエレベーターが止まり、断水でトイレは一瞬にして使えなくなります。そして過去の震災が証明しているように、キャパシティを大幅に超えた都心の避難所では、1人あたりわずか畳1畳分のスペースで、プライバシー皆無の過酷な生活を強いられる可能性が極めて高いです。
もう一つの拠点がもたらす、究極なリスク分散という考え方
もし都心で災害が起きたとき、いつでも移動できるもう一つの我が家があるという事実は、何にも代えがたい精神的な安定をもたらしてくれます。 避難所の限界や都心での被災生活の厳しさを知るほどに、私たちは二拠点生活の持つ真の価値に気づくことになりました。
リスクを抑えた土地にセカンドハウスを持つことは、週末を楽しむためだけでなく、暮らしにもう一つの選択肢を持つことにもつながります。いざというときに、家族が身を寄せられる場所がある。それは、日々の安心を少し支えてくれる存在になるかもしれません。
・リスクを抑えた立地の選定:河岸段丘の平らな中央など、地形的に災害の影響を受けにくい場所を選ぶ
・プライバシーの確保:過密な避難所に頼らず、落ち着いた環境で家族と過ごせる
・物資の分散備蓄:食料や生活用品をもう一つの拠点に分けて備えておける
・生活の継続性:設備を工夫することで、インフラが止まった場合でも生活への影響を抑えられる
自然の中で過ごす時間は、冷静に確かめ、備えたの先にある
タイムラプスで振り返ってみても、道幅や高低差はそれほど大きくなく、日中であれば移動のしやすいルートでした。
ただし、夜になると街灯が少なく、同じ道でも見え方は大きく変わりそうです。
さらに、周囲には山が迫っているため、大雨時には近くの斜面で土砂崩れが起きる可能性も想定しておく必要があります。
セカンドハウスでの防災は、特別なことをするわけではありません。 土地のハザードを確認し、実際に避難所まで歩いてみる。そうした一つひとつの確認の積み重ねが、いざというときの冷静な判断力に繋がります。
私たちがこうした確認を丁寧に行うのは、自然のリスクを正しく把握して対処してこそ、心からリラックスして過ごすことができると考えているからです。 安全性と心地よさの両方を満たす二拠点生活の第一歩として、まずは天気の良い日に、未来の拠点から避難所まで歩いてみませんか。
体験会へのご招待
この記事に出てくるMOKKEJAは、青野原にあるセカンドハウスです。
普段は建築家本人が家族と週末移住をしている場所ですが、モデルルームとして公開しています。
なお、準備の都合上、体験会は事前にご連絡をいただいた上でのご案内となります。



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