Column

移住でも旅行でもない「週末移住」というライフスタイル。今の暮らしを大切にしながら、新しい日常を育てる。

ライフスタイルが多様化する中で、田舎での週末移住(二拠点生活)をする方達がいます。
本格的な移住はしないけれど、田舎で暮らしたいと二つ目の拠点を構える人たちが求めるものはなんなのでしょうか。
この記事では、私たちの体験を元に、
・移住や旅行ではなく、週末移住を選択した理由
・生活の中に生まれたポジティブな変化
・無理なく続けていくために工夫していること
についてお伝えします。

<私たちについて>
相模原市緑区青野原で二拠点生活を営む五十代夫婦です。
夫は一級建築士として設計事務所を経営し、これまで多くの住まいづくりに関わってきました。その経験の中で、一つの住まいにすべてを求めるのではなく、暮らしの役割を分けるという選択肢があってもいいのではないか、と考えるようになりました。
そこで、自分たち自身が実際に暮らしながら確かめる場として、もう一つの拠点となるセカンドハウス MOKKEJA を設計しました。
この家は、単なる家ではなく、二拠点生活の良い点も難しい点も含めて、ありのままを体験し、正確に伝えるための“実践の場”でもあります。
実際に暮らしながら得た気づきや課題を隠さずに伝えることで、理想だけでなく現実も含めて判断してもらいたい——そんな思いで、この場所を開いています。

私たちが週末移住を選択した理由

青野原の風景

私たちは、青野原での週末移住を2024年から始めました。普段は相模原市の南区に、週末は同じく相模原市の緑区青野原で過ごしています。セカンドハウスのある青野原までは、普段の住まいから車でおよそ一時間です。
同じ市内に家がふたつ? と驚かれることもあります。わたしたちがどうして旅行ではなく、完全な移住でもなく、週末移住という選択をしたのか、その理由をお伝えいたします。

今の暮らしを壊さずに、生活の領域を広げる

田舎暮らしへの憧れはありましたが、夫婦ともに仕事があり、通勤のことを考えると完全な移住は現実的ではありませんでした。
今の暮らしを維持したまま、田舎暮らしもしたい。ただ、移動に時間がかかりすぎると、きっと足が遠のいてしまう。
そんなふうに考えた時、相模原市の南区と緑区の二拠点生活は、今の環境と憧れの暮らし方、両方をバランスよく手に入れられる選択だったのです。

「いつか」と蓋をしていた好奇心に、今すぐ没頭する

広い庭に好きな木や花を植えて好きなように庭づくりをしたい。大きな窓から見える自然の景色を眺めながらコーヒーを飲み、読書をしたい。薪ストーブにあたりながらペットと戯れたい。休みごとに友人を呼んでバーベキューをしたり、プロジェクターで映画を写して映画談義をしたい。
思い描いていたやりたいことはたくさんありました。
リタイアしたら。時間ができたら。完全な移住ができるようになったら。
そう思っていましたが、それはいつになるんだろう、とも思っていました。時間はどんどん過ぎていきます。そして、今が一番若くて、いちばん自由かもしれない。
今好きなことをやらずに、いつやるのでしょうか。
そう思えたことが、私たちの背中を押しました。

オンとオフを切り替え、平日をより健やかに過ごすため

車で一時間程度の場所にある拠点は、平日の仕事モードと休日のリフレッシュモードをスムーズに切り替えるのにちょうどいい装置でした。
ビルや様々な施設が立ち並ぶ景色から、だんだんと建物の高さが低くなり、細い道を抜けると視界が一気に開けます。その先に広がる山々を眺めながら車を走らせる時間が私たちの心を自然と切り替えてくれるのです。
このことは、セカンドハウスをどこに構えるか探すために青野原を訪れているときにも感じていました。
休日に仕事のことを持ち込まない。そのことが、結果的に普段の生活にもいい影響を与えてくれるのではないか。そんなことも期待しました。

(動画は、橋本駅からMOKKEJAまでの景色の変化を撮影したダイジェストです)

旅行とは違う、自分の家があるからこそできること

普段の生活と休日を切り替える方法として、旅行を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん旅行も、日々の人生を豊かにする方法です。私たち自身も、始める前は「それなら旅行で十分なのでは」と考えていました。
ここでは、私たちが実際に暮らす中で感じた、旅行と二拠点生活の違うところ、自分の家があるからこそできることをご紹介していきます。

予約がいらない、思い立った時にすぐ行ける

旅行は、数週間前、ハイシーズンや人気の場所ならそれこそ数ヶ月、一年前から予定を立てる必要があります。
けれどセカンドハウスがあれば、いきたいと思った時にホテルが取れないということはありません。
部屋が合わなくてアレルギーをおこすこともありません(うちのスタッフは部屋が合わないと喘息がでてしまいます)。
必要なものは行った先に揃っているので、出かける準備に時間と手間をかける必要がありません。
予約や準備、片付けに時間を取られません。
思い立ったときにすぐ行けて、着いたらすぐに、やりたいことを始められます。

旅行疲れがない、非日常

旅行へ行こうと思うと、ホテルの予約、新幹線の手配、車でいくにしても、どこをどう通るか、道順の確認が必要になります。さらに、せっかくだからと予定を詰め込み、気づけば少し疲れてしまうこともあります。

全く知らない場所に行くこと。それは確かにとても楽しいことです。
けれど、週末移住は旅行とは別物。
慣れた道を、慣れた車で移動して、行った先も勝手を知り尽くした自分の家。
普段の生活と切り離された非日常だけれど、慣れ親しんだ場所で過ごすので、非日常でありながら、気を張らずに過ごせる時間でした。

ベースキャンプとしての機能

相模原市緑区の周りには様々なアクティビティを楽しめる場所があります。
MOKKEJAがある青野原から高尾山の登山口までは車で約30分。道志みち(国道413号)は、東京2020オリンピックの自転車ロードレースコースに採用されたワインディングロード。相模湖や津久井湖、宮ヶ瀬湖周辺は、四季を楽しめる景勝地となっています。

登山や釣りを楽しもうとすると、どうしても早朝に家を出る必要があります。起きるのが3時や4時になることも。
前日に移動しておける場所があるだけで、週末の自由度は大きく変わりました。

前日のうちにセカンドハウスに移動すれば、いつもと同じ時間に起きても大丈夫です。
ベースキャンプとして活用することで、趣味を思いきり楽しむことができます。

週末移住をはじめて感じた、プラスの変化

相模原市緑区青野原 モッケヤの庭

週末移住を始めてから、想像していた以上に、日々の中に小さな変化が生まれました。
どれも大きな出来事ではありませんが、振り返ると、暮らしの質そのものが少しずつ変わっていたように感じます。
ここでは、私たちがどんな体験をしているのかをお話しいたします。

同じ趣味ができ、夫婦の会話が増えた

週末移住を始める前は、平日は仕事中心の生活で、休日もゆっくり話す時間を取る余裕があまりありませんでした。

それが、週末をセカンドハウスで過ごすようになってから、移動中の車内や、庭の手入れをしながら、夕飯の準備をしながら、日常の何気ない場面で、自然と会話が増えていきました。

部屋を仕切る壁を極力少なくしあえて小さく作った家なので、室内で別々のことをしていても顔が見えて、声が聞こえます。とはいえ 同じ空間、同じ時間を「過ごす」だけでなく、「一緒に何かをする」機会が増えたことが、いちばんの変化かもしれません。

長く一緒に暮らしていたつもりですが、この歳になって初めて知る相手の一面もありました。

日々にメリハリが出て、毎日が楽しくなった

以前は、平日の夜は疲れ果ててダラダラ過ごし、溜まった家事を週末に
まとめて片付けるというような生活をしていましたが、週末に「楽しみな予定」があるだけで。平日のうちに家事をパパッと終わらせてしまおうと、平日の時間の使い方まで変わるのだと実感しています。

目の前のやることに追われている生活の中では、自分の健康に気を配ることもあまりしていませんでした。しかし、週末、青野原でのんびり過ごす中で、食事や睡眠、体を動かすこと、そんなことにも意識を向ける時間ができました。

日々にメリハリがでて健康も意識するようになったことで、平日の自分も、活力を取り戻した気がします。

週末移住を始めたからといって、毎日が特別になるわけではありません。
ただ、何気ない日常を、前よりも大切に感じられるようになりました。

これから週末移住をする人に伝えたい、気をつけるべきこと

私たちが二拠点生活を始めて、約2年がたちました。実際に暮らしてみて感じた、
これから週末移住をする方に伝えたいことをまとめます。
どれも特別な話ではありませんが、続けていく上ではとても大切なことばかりです。

移動時間が負担にならないか

せっかくセカンドハウスを持っても、移動が負担になると、次第に足が遠のいてしまいます。
私たちはセカンドハウスを建てるとき、「通えるか」ではなく「通い続けられるか」を基準に場所を選びました。

自宅から1時間、長くても1時間半ほどで通える距離。
その条件を大切にして選んだのが、相模原市緑区でした。

自宅が相模原市南区、セカンドハウスが緑区。同じ市内に二つの家を持つことは、一見すると贅沢に思われるかもしれません。
けれど、距離が遠くなり、次第に足が遠のいてしまうことの方が、私たちにとっては
もったいないと考えました。同じ相模原市でも、南区は商業施設や住宅街が広がるエリア、緑区は自然に囲まれた環境。それぞれがまったく異なる表情を持っています。その違いを楽しめるのがこの距離だったからこそ、二つの拠点を行き来する暮らしが、無理のない形で成り立ちました。

セカンドハウスを建てる時は、移動時間が負担にならないか、定期的に通える距離かを考えてみてください。

セカンドハウスの管理に手間がかかりすぎないか

家が二つになると、掃除や庭の手入れなど、日々の管理も増えます。
大きな家は、管理が大変に。
私たちも広い庭がほしいと思って土地を購入したのですが、最初の夏は雑草の処理に追われてしまいました。夫婦で庭を整備する時間も楽しいと思えましたが、やはり炎天下の雑草処理は体力的に厳しいものがあります。
雑草管理が楽になるようにと後から芝生を敷いたので、今年の夏はだいぶ楽になると思います。DIYや自分での庭づくりも楽しいですが、芝の部分は、最初からプロにお任せすればよかったかもしれません。

一方で、建物に関しては最初から管理が楽になることを念頭に設計しました。
心地よく過ごせる必要最低限の広さを考え、部屋は10坪に。キッチンとリビング部分は、汚れにくく、掃除がしやすいタイルの床を採用しました。おかげでペットのインコを遊ばせて、落とし物が落ちてもさっと拭き取ることができています。

自分がここでやりたいことはなんだろう、必要な広さはどれぐらいか、管理を簡単にするにはどうしたらいいか……。そんなことを考えてセカンドハウスを建てると、趣味に当てられる時間が増えると思います。
楽しさだけでなく、手間も含めて暮らしの一部として受け止められるかどうかが、大切だと感じています。

セカンドハウスの維持費が負担になりすぎないか

セカンドハウスを購入する時、建物や土地の価格はもちろんよく考えると思います。
それに加えて、家を持つということは維持費もかかります。光熱費やメンテナンス費。
年間で、あるいは将来的にどれくらいの負担になるのかをあらかじめ想像しておくことは、安心につながります。

私たちは、「無理なく付き合っていけるか」を意識して考えました。
私たちは太陽光パネルをつけることで、セカンドハウスで使う電気は全て太陽光発電で賄っています。
毎月平均5000円程度の売電もできているので、これを他の光熱費やメンテナンス代の一部に当てていく予定です。

まとめ

週末移住は、完全な移住ほどハードルは高くありません。今の暮らしを維持しながら始めることができます。
完全な移住ではない、けれど旅行とも違う、非日常を日常的に体験できる週末移住。
実際に暮らしてみてわかった楽しさや大変さがありました。
週末移住は、始めることよりも、続けていくことの方が難しいと感じています。
だからこそ、誰かの理想や正解に合わせるのではなく、ご自身の暮らしの中で無理なく続けられる形を選んでほしいと思います。

私たちが暮らすMOKKEJAは、モデルルームとしても公開しています。
興味がある方はぜひ一度お越しいただき、どんな場所なのか確かめてください。
私たちが実際に暮らした体験もお話しできます。

<体験会へのご案内>

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