Column

「本質」と暮らす。JAPANDIという考え方

 「Japanese(日本)」の静けさ・引き算の美学と、「Scandinavian(北欧)」の日常の何気ない瞬間に幸せを見出す,日常のあたたかさ。
一見異なるふたつの文化ですが、その根底には共通するものがあります。
余計なものを手放し、本当に大切なものと丁寧に向き合う、という姿勢です。
JAPANDIは、そのふたつの感覚を暮らしの中で同時に成り立たせるための考え方です。
スタイルやデザインの流行ではなく、どう住まい、どう過ごすかという、暮らし方そのものへの向き合い方と言えるかもしれません。

余白とは、「落ち着ける状態」のこと

余白とは、何もないスペースではありません。

目に入る情報が多すぎない。
動線がごちゃつかない。
気持ちが急かされない。
そんな、ふとしたときに「ここにいると落ち着く」と感じられる状態だと思っています。

たとえば写真は、
被写体のまわりに余白があるほど主役がはっきり見えます。
情報を詰め込むほど伝わるわけではなく、むしろ散漫になる。

住まいも同じです。
何かを足して空間を整えるのではなく、何を減らすか・どこを整えるかを先に考える。
その引き算の積み重ねが、毎日の暮らしの心地よさをつくっていきます。

余白は、住む人の気持ちをしずかに支える「暮らしやすさ」でもあると、私たちは考えています。

「どんな時間を過ごしたいか」から始める

JAPANDIに、決まった型はありません。
暮らす人が変われば、心地よさも変わるからです。

だから私たちは、設計の最初に
「どんな雰囲気が好きですか?」だけでなく、
「どんな時間を過ごしたいですか?」 という問いを大切にしています。
見た目のスタイルよりも先に、その家でどう生きるかをいっしょに考えたい。そう思っているからです。

朝、自然光の差し込む場所でゆっくりコーヒーを飲みたい。
夜は照明を落として、火を眺めながら静かに過ごしたい。
人が集まってにぎやかに囲める食卓がほしい。
好きな本や音楽に、じっくり向き合える場所がほしい。

そういうイメージが少しずつ見えてくると、余白の取り方も、窓の位置も、収納の在り方も、自然と住まいの形になっていきます。

暮らしの細かな場面を想像するほど、設計はより具体的に、より的確になっていく。それが私たちの実感です。

ヒアリングを大切にするのは、そのためです。お客様の暮らしの輪郭をいっしょに見つけながら、その人にだけ合う整え方を探していく。
その時間が、住まいづくりの一番の土台になると考えています。

素材は、組み合わせと時間で育つ

空間の印象は、素材の選び方で大きく変わります。

木・土・石・タイル。自然に近い素材は、一見地味に見えるかもしれません。
でも、毎日その場所で過ごしていると、じわっと効いてくる。
手で触れたときの質感、光の当たり方による表情の変化。そういう細やかな感覚が、「この家にいると落ち着く」という感覚の土台になっていきます。

私たちが特に大切にしているのが、国産材です。
その土地の気候や湿度に馴染みやすく、香りや触り心地もやさしい。
そして木は、使うほどに色が変わり、表情が深くなっていきます。
それは「古くなる」ということではなく、暮らしの時間がその木に刻まれていく感覚に近いと思います。
新築のときより、数年後のほうが空間に味わいが増している。そういう住まいをつくりたいと考えています。

ただ、木をふんだんに使うだけでは、空間がやわらかくなりすぎることもあります。
その木でも空間の直線をきれいに通すと、力強く、引き締まって見えて来ます。
床にタイルを合わせたり、壁を塗り壁にしたりすることで、やわらかさの中にほどよい緊張感が生まれます。

素材は単体で選ぶより、組み合わせと見せ方で空間の温度が決まります。その調整を丁寧に重ねることが、JAPANDIらしい空間づくりの核心だと思っています。

整えて、長く、気持ちよく


私たちが目指すのは、説明が必要なデザインでも、飾り立てた空間でもありません。

光の入り方、素材の手ざわり、動きやすさ、片付けやすさ。
そういう、暮らしの基本を丁寧に整えること。
それだけを、ひとつひとつ積み重ねていきます。
派手さはないかもしれません。でも、住むほどに落ち着いてくる。
時間が経つほど、「この家でよかった」と思える。
そういう住まいをつくりたいと考えています。

贅沢を「足すこと」と考えると、どんどん増えていきます。
「整えること」と考えると、本当に必要なものが見えてくる。
迷ったときは、日々の小さな手間が減って、気持ちが静かになる方を選ぶ。
JAPANDIの考え方は、そこに行き着きます。

帰ってきたとき、なぜか気持ちが落ち着く。特別なものが増えたわけではないのに、ここにいると穏やかになれる。
それはきっと、「探す・避ける・片付ける」という日々の小さな負担が、少しずつ減っているからだと思います。

普通だけど、確かな心地よさ。そういう住まいを、これからもつくり続けていきたいと思っています。

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