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手渡された、春の予兆

W.S.です。

散歩の途中、近所の方から猫柳の枝をいただきました。

長く、驚くほどしなやかで、先端には柔らかなピンク色の穂がつき、本当に猫の尻尾のように可愛らしいです。風に揺れるその姿は、木の枝でありながら、どこか動物の気配を思わせます。

マンションに持ち帰り部屋に置くと、直線的な室内に一本の曲線が生まれ、静止していた空間に方向が生まれます。硬い素材に囲まれた室内に、外の時間が持ち込まれたようにも感じられます。

枝をいただいたこと自体も、どこか象徴的な出来事でした。この土地で暮らし始めてから、散歩の途中で挨拶を交わし、言葉を交わし、こうして何かを手渡される。その小さな出来事の積み重ねによって、場所は単なる地理ではなく、関係のある空間へと変わっていきます。

一本の猫柳の枝は、単なる植物の一部でありながら、季節と、場所と、人との関係を同時に運んできました。

その枝は今、部屋の中で静かに佇みながら、週末の時間と、この場所との繋がりをそっと示しています。

気がつくと、うちのルーちゃんが、その猫柳をかじりながら遊んでいました。

あ、と思わず声をかけてしまいましたが、その様子はどこか嬉しそうで、春の気配を一緒に見つけているようにも見えました。

 

 

文・写真:W.S.
夫と共に都心と青野原の二拠点で暮らす

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