火を育てる、小さな枝

建築家の李です。

今日は庭の柿の木の枝を整えました。
どんな仕事も同じだと思いますが、手を入れ続けることで輪郭は少しずつ整っていきます。
伸びすぎた細い枝を落とし、風と光の通り道をつくる。
剪定は、減らす作業でありながら、環境を良くするための行為です。

庭の柿の木は、一本でいくつもの役割を担っています。夏には涼しい影をつくり、秋には実をつけ、そして冬には薪になる。
一本の木が、季節ごとに姿を変えながら、暮らしの異なる場面に静かに関わってくるのです。

今日落とした細い枝は、すぐに束ねて乾かします。
薪ストーブや焚き火で最初に火を宿すのは、こうした軽く乾いた小枝です。
火が小さな枝を足がかりにして、少しずつ太い薪へと移り、やがて安定した熱へと育っていきます。
火を「つける」というより、「育てる」という感覚のほうが近いのかもしれません。

柿の木は密度が高く、ゆっくりと燃え、穏やかな熱を保ちます。
果樹は繊維が詰まり、火持ちがよいといわれますが、それ以上に、庭で育った木が再び室内を温めるという流れに、私は意味を感じています。

影をつくり、実をつけ、枝を薪として差し出し、その火がまた人の暮らしを支える。そして人は木の手入れを続けることで、その次の影と実を守っていく。
与えられ、受け取り、また次へと手渡していく。この静かな循環の中に、庭と建築、そして暮らしが連続した環境としてつながっている。枝を束ねながら改めて感じていました。

李 孝哲

 

同じく暮らしの循環を担う雑草……先駆植物について思いを馳せた日記はこちら。
小さな花と、大きな仕事

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