2025.09.07

不便が連れてくる、秋の静かな贅沢。

夫に誘われるがまま始めたこの二拠点生活ですが、正直に言えば、最初は「家事が増えるだけではないかしら」と、少し身構えていたところもありました。

けれど、10坪という限られた広さのモッケヤで過ごす時間は、私に意外な発見を運んできてくれます。

例えば、先週末のこと。 モッケヤのキッチンで、鍋を使って栗ご飯を炊きました。

ここには、炊飯器を置いていません。 「ものを持ちすぎない」という夫の美学に付き合ってのことですが、最初は少し不便に感じていたんです。でも、IHコンロの上でコトコトと鳴る鍋の音を聴きながら、栗の皮を剥く。そんな何気ない時間が、今の私にはとても愛おしく感じられます。

便利な家電が並ぶ自宅では、効率に追われ、つい「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と、追い立てられるように動いていました。けれど、この小さな家では、管理に奪われる時間がありません。 ただ、お米が炊けるのを待つ。 そんな「間」があるだけで、秋の味覚がこんなにも豊かに感じられるなんて。

50代を過ぎてからの暮らしに必要なのは、最新の設備よりも、自分の「好き」に集中できる、こうした静かな時間なのかもしれません。

ホクホクとした栗ご飯の湯気の向こうに、この場所を選んでよかったな、と少しずつ思い始めている自分がいます。

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